ゾーニング
近年、O-157やノロウイルスによる食中毒の発生などにより、微生物危害を中心とした食品衛生についての関心が高まっています。その衛生管理手法として注目しているのが、HACCPです。
もともと、HACCPとは、1960年代のアメリカ合衆国での宇宙開発に伴ない、構想されたシステムです。
HACCPとは、一般的に「危害分析重要管理点方式」と訳され、食品の原材料の生産から最終製品が消費者の手に渡るまでの各段階ごとに発生する恐れのある危害について、あらかじめ想定し、その対応策をたて、これを日常的に実施、監視することで食品の安全性を確保しようとするものです。
食堂・厨房等においては、製造過程において、順次、何を、何処で、誰が、いつという流れでまとめていくことになります。衛生管理という視点から、内部を衛生面(汚染度合い)により、清浄度・温湿度などに基準を設け、設定水準に応じて、エリアゾーニングしていかなければなりません。(ちなみに、建物内部に必要な部屋、位置、大きさ等を計画していくことをゾーニングといいます)
衛生面でのゾーニングは、原材料の受け入れ室や前処理室、倉庫などの汚染区と、それ以外の非汚染区に区分する事から始まります。
建物において、交差汚染の危険性を下げる様に、トータルでゾーンを考えていきます。
食が進歩し、環境が変われば、当然『食堂・ホール』の考え方も変わってゆきます。企業のCI(コーポレートアイデンティティ)に合わせた「環境づくり」を実践しつつ、ホールゾーニングや厨房ゾーニングを考えています。
HACCPシステムに基づくエリア区分・設備区分が重要です。
HACCPに基づく衛生管理
(Hazard Analysis and Critical Control Point)
HACCPシステムで管理しようとするハザード(危害原因物質)とは、食品中に存在することにより、人に健康被害を起こすおそれのある因子で、次の3つに分類されます。
(1).生物的危害原因物質(病原細菌、ウイルス、毒素など)
(2).化学的危害原因物質(カビ毒、フグ毒、残留農薬、洗剤等)
(3).物理的危害原因物質(ガラス片、金属片、プラスチック片等)
これらの因子を、7原則12手順により、取り除いていきます。
- 専門家チームを編成する。
- 食品の説明・記述(安定性、賞味期限、包装、流通形態)について記述する。
- 食品の食べ方、使用法について確認する。
- 製造工程一覧図(フローチャート)を作成する。
- 製造工程一覧表を現場で検証する。
- 危害要因を分析する。(Hazard Analysis 原則1)
- 重要管理点を決定する。(CCP Critial Control Points 原則2)
- 管理基準を設定する。(CL Critical Limit 原則3)
- CCPのモニタリング方法を設定する。(Monitoring 原則4)
- 管理基準から逸脱があった場合の改善措置の方法を設定する。
- 検証方法を設定する。(Verification 原則6)
- 記録をつけ、文書化を行い、それを保管するシステムを確立する。
(Record-Keeping and Documenntation 原則7)
HACCPシステムを効果的に機能させるためには、基本的な施設設備や従業員の適切な管理が必要です。作業手順を明らかにして文書化し、さらに衛生管理の実施状況を確認してその記録を残すことが要求されます。
これに加え、経営者のコミットメント(全力で献身的に取り組むこと)とコーディネーターを選任することが重要です。このコーディネーターとは、HACCPチームリーダーでありHACCPに関する全権を委譲されている人のことをいいます。
特に、経営者のコミットメントは12手順に記載されていませんが、それ以前になくてはならない重要な要素です。
HACCPシステムの効果的な機能のため、次の管理プランを機能させています。
- 施設設備、機械器具の衛生管理
- 施設設備、機械器具の保守点検
- 従事者の衛生教育
- そ族昆虫等の防除
- 使用水の衛生管理
- 排水及び廃棄物の衛生管理
- 従事者の衛生管理
- 食品等の衛生的な取扱い
- 製品の回収方法
- 製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検
[栄養士による勉強会]
[ビデオによる衛生指導]
[研修風景]